根管治療の自費と保険は何が違う?

「根管治療は自費のほうがいいと言われたけれど、何が違うのだろう」
「保険で治療できるのに、なぜ自費をすすめられるのだろう」と迷われている方もいらっしゃるかと思います。

自費の根管治療と保険の根管治療は、目指しているゴール自体は同じです。違いは、そこにたどり着くために使える器具・材料・時間の幅にあります。保険診療には制度上の枠組みがあり、その範囲の中で治療を行います。自費診療ではその枠にとらわれず、拡大視野での確認や感染対策、材料の選択を症例に合わせて組み立てることができます。

この記事では、根管治療の自費と保険について違いをわかりやすく解説します。

自費の精密根管治療とは?

根管治療とは、むし歯や外傷によって細菌に感染した歯の神経(歯髄)を取り除き、根の中(根管)を清掃・消毒したうえで薬剤を詰めて封鎖する治療です。歯を抜かずに残すための、土台となる治療にあたります。

自費の精密根管治療は、この一連の処置を健康保険の枠組みによらず自由診療として行うものです。1回あたりの治療時間を長く確保し、マイクロスコープ(歯科用の顕微鏡)やラバーダム(治療する歯を隔離するゴムのシート)などを用いて、感染源の除去と再感染の防止に重点を置いて進めていきます。

なお、自費であれば必ず歯が残せるというものではありません。歯の残っている量や根の状態によっては、どの方法を選んでも保存が難しい場合があります。まずは検査で状態を確認し、残せる見込みをご説明したうえで治療方針を決めていくことになります。

保険と自費を比較

主な違いを表にまとめました。金額は当院の料金(税込)です。

比較項目保険の根管治療自費の根管治療
費用の目安3割負担で数千円程度44,000〜88,000円
(部位により変動・土台・被せ物は別途)
1回あたりの時間30分程度が一般的60分程度を確保
マイクロスコープ3根管以上または樋状根の歯で、条件を満たす場合に使用歯種を問わず使用
ラバーダム防湿保険の算定項目なし
症例に応じて使用
症例に応じて使用
ニッケルチタンファイル上記と同じ条件を満たす場合に使用歯種を問わず使用
根管を封鎖する材料保険で認められた材料バイオセラミックシーラー

治療にかけられる時間と回数

保険診療では、1回あたりの処置内容と算定できる範囲があらかじめ決められています。そのため、限られた時間の中で複数回に分けて進める形が一般的です。自費診療では1回の枠を長く確保できるため、同じ処置をより少ない回数でまとめられる場合があります。

通院回数が減ることは、患者さまの負担が軽くなるだけでなく、治療の途中で仮の蓋が外れて細菌が入り込む機会を減らすという意味もあります。

使用する器具・材料

根管は太さ1ミリに満たない細い管で、枝分かれや湾曲をともなうことも珍しくありません。肉眼だけでその内部を確認することには限界があり、拡大視野で確認できるかどうかは処置の精度に影響するとされています。また、根管を清掃する器具や封鎖に用いる材料にも複数の選択肢があり、自費診療ではその中から症例に合うものを選べます。

  • 治療後にセラミックなどの自費の被せ物を予定している場合
  • 3根管以上の複雑な形態をもつ歯、または樋状根(といじょうこん)と呼ばれる特殊な形態の歯であること
  • 歯科用CTによる画像診断の結果を踏まえて治療を行うこと
  • 対象となる歯1本につき1回であること

費用

保険診療は3割負担であれば1回あたり数百円から数千円程度に収まりますが、自費診療は全額自己負担となります。一方で、再治療が必要になった場合には改めて費用と時間がかかるため、長い目で見た判断も大切です。

根管治療の結果を左右するもの

根管治療がうまくいくかどうかは、次のような要素の積み重ねで決まると考えられています。

  • 感染した歯質や以前の充填材を、根管の内壁からどこまで取り除けたか
  • 根管の本来の形態を保ったまま清掃・形成できたか(見落とされた根管が残っていないか)
  • 療中に唾液からの細菌の侵入を防げたか
  • 根管をすき間なく封鎖できたか
  • その後の土台と被せ物が適合し、上から細菌が入り込む隙をつくっていないか

いずれも、かけられる時間、使用できる器具や材料といった条件に左右されます。逆に言えば、根管治療だけを丁寧に行っても、その後の被せ物に問題があれば再感染につながることがあります。根管治療と補綴(被せ物)は、切り離さずに考えることが大切です。

保険診療でマイクロスコープは使えるのか

保険診療は、必要な治療を誰もが受けられるようにするための制度です。そのため、処置ごとに保険で認められる内容と範囲が定められています。ただし、マイクロスコープが保険診療で一切使えないわけではありません。

2018年に手術用顕微鏡加算が設けられ、施設基準を届け出た医療機関では、保険診療の中でマイクロスコープを用いた根管治療を行うことができるようになりました。当院はこの施設基準の届出を行っております。

ただし、対象となる歯には条件があります。

つまり、根管が1〜2本である前歯や多くの小臼歯は、保険でのマイクロスコープ使用の対象にはなりません。
この「保険でできるところ」と「その先」の差が、自費の根管治療をご用意している理由にあたります。

自費を検討したほうがよいケース

  • 他院で「抜くしかない」と言われた歯を、できる限り残したい場合
  • 過去に根管治療を受けた歯が再び痛む、腫れるなど、再治療が必要な場合
  • 根が複雑に湾曲している、根管が石灰化して見えにくいなど、処置の難易度が高い場合
  • 前歯や小臼歯など、保険でのマイクロスコープ使用の対象にならない歯で、拡大視野での処置を希望される場合

大木歯科・矯正歯科四日市の精密根管治療(自費)

器具・材料

当院では、自費の精密根管治療において次のような器具・材料を用いています。

マイクロスコープ

根管の入口や内壁を拡大して確認します。見落としやすい根管の発見や、汚染された部分の除去に用います。

ラバーダム

治療する歯だけをゴムのシートで隔離し、唾液に含まれる細菌が根管に入り込むことを防ぎます。

ニッケルチタンファイル

しなやかで折れにくい性質があり、湾曲した根管でも本来の形を保ちながら清掃しやすいとされています。

バイオセラミックシーラー

根管を封鎖する際に使用する材料です。生体との親和性が高く、硬化する際にわずかに膨張するため、すき間ができにくいと報告されています。

料金

当院の自費の精密根管治療の料金は、次のとおりです(税込)。根管の本数によって処置の手間が変わるため、部位ごとに設定しております。

部位費用(税込)
前歯44,000円
小臼歯66,000円
大臼歯88,000円

上記は根管治療そのものの費用です。治療後には歯の土台(コア)と被せ物が必要になり、その費用は別途かかります。
詳しい料金表はこちら

自費の根管治療は、医療費控除の対象となる治療です。1年間に支払った医療費が一定額を超える場合、確定申告によって所得税の一部が還付される可能性があります。

よくある質問

同じ歯で、保険と自費を組み合わせることはできますか?

日本の健康保険制度では、同じ病気の治療において保険診療と自費診療を組み合わせることが原則として認められていません。そのため、その歯の治療を保険で進めるか自費で進めるかを、治療を始める前にお決めいただくことになります。

保険の根管治療を受けたあとで、自費に切り替えることはできますか?

治療の途中で方針を変更することは可能です。ただし、切り替えのタイミングによって進め方や費用の扱いが変わります。気になった時点でご相談いただければ、現在の状態を確認したうえでご説明いたします。

自費の精密根管治療なら再発しませんか?

再発の可能性を完全になくすことはできません。根の形態や残っている歯質の量、治療後の被せ物の適合、日々のお手入れなど、複数の要因が関わります。再感染のリスクを下げることを目的とした治療であるとお考えいただければと思います。

まとめ

保険と自費の根管治療は、目指すところは同じですが、そこに使える器具・材料・時間に違いがあります。

「この歯はもう抜くしかないのだろうか」とお悩みの場合も、判断の材料をお示しできることがあります。気になる歯がありましたら、一度ご相談ください。

大木歯科・矯正歯科四日市では、歯科用CTによる検査やカウンセリングをもとに、患者さまお一人おひとりに合わせた治療のご提案と、丁寧でわかりやすいご説明を心がけております。「この歯を残せるのか相談したい」「保険と自費のどちらが適しているか聞きたい」など、どのようなご相談でも承っております。

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