二次虫歯

銀歯の虫歯リスク

銀歯は虫歯リスクを
抱えています

虫歯を治療するために使用する材料の一つに銀歯があります。銀歯は銀と他の金属(銅や亜鉛)の合金から作られており、耐久性と強度のある材料で、以前から虫歯治療に広く使用されています。
歯を削り、詰め物や被せ物に銀歯を使用することは一般的な方法です。しかし、銀歯自体が虫歯のリスクを抱えています。

虫歯の治療について

奥歯の銀歯
銀歯の虫歯

歯と銀歯の隙間から虫歯に

虫歯はお口の中の虫歯菌がお砂糖を原料に酸を出し、その酸が歯を溶かして「歯に穴が開く病気」です。なので虫歯菌によって銀歯に穴が開くことはありません。しかし、何かしらの原因で歯と銀歯の境目に隙間ができると、そこから虫歯菌が侵入し、銀歯の中で虫歯が広がります。これが二次虫歯(二次カリエス)と呼ばれるものです。

銀歯は時間経過とともに
劣化します

歯の詰め物や被せ物は長期間にわたって使用されます。銀歯の寿命は一般的に、詰め物・被せ物は約5年、銀歯をつないだブリッジは約7年といわれています。

二次虫歯

一度治した歯が再び虫歯になること
二次虫歯(二次カリエス)といいます。

「治療後5〜7年で銀歯が取れた」
「銀歯の下の歯が黒くなっていた」
「噛むと銀歯が痛む・歯の根本が腫れた」
といった経験はないですか?

歯の詰め物や被せ物の種類にはセラミック、プラスチック、金属の3種類がありますが、
特に金属の被せ物がしてある歯は二次虫歯になるリスクがすごく高いのです。

銀歯が二次虫歯になる
メカニズム

金属は熱が加わることによって膨張したり、冷えると収縮したりします。これを「熱膨張」といいます。
身近にあるもので例えると、電車の線路がわかりやすいかと思います。
(よく見るとつなぎ目には隙間ができています。夏場は暑いので膨張して伸び、冬場は寒いので縮みます)
それと同じことがお口の中でも起こっています。お鍋を食べながら氷の入った冷たい飲み物を飲んだり、冷えたデザートとホットコーヒーを飲んだり。
そうしたお口の中の温度変化によって、銀歯は膨張・収縮を繰り返します。
すると、歯と銀歯の間の接着剤がボロボロに崩壊していき、できた隙間から虫歯菌が入り込りんで、歯がドロっと溶けて虫歯になってしまうのです。

金属は熱が加わることで膨張・収縮を繰り返す(熱膨張)

歯と詰め物・被せ物の間の接着剤がボロボロに崩壊する

隙間から虫歯菌が入り込んで虫歯になる

二次虫歯の予防

詰め物や被せ物に銀歯を入れたからといって、必ずしも虫歯になるとは限りません。
虫歯になるメカニズムを理解し、
銀歯の虫歯リスクを最小限に抑えるための適切なケアが重要です。

汚れをしっかりと落とす


お口の中の細菌(虫歯菌や歯周病菌)はマイナス電気を帯びています。銀歯はプラス電気を帯びているため、互いに引き合い、銀歯の周りには細菌が寄り付きやすくなります。
また、天然歯の表面はツルツルとして汚れが簡単に落ちるのに対し、銀歯は劣化してくると表面がザラザラしてきます。そのため汚れが落ちにくく、銀歯の周りには磨き残しが出やすいです。
歯ブラシだけでなく歯間ブラシやフロスを使用してお口の中の衛生を保ちましょう。

歯医者で早期発見・早期治療


定期的な歯医者での検診とクリーニングも重要です。銀歯が虫歯になる前にレントゲンや歯科用顕微鏡で虫歯のチェックをしたり、隙間や段差ができていないか銀歯の適合状態を確認しましょう。
もし虫歯になってしまっていても、早い段階で見つけることができれば歯を削る量を最小限に抑えることも可能です。特に歯全体を銀歯で覆っている場合の多くは歯の神経を抜いていることがほとんどなので、しみたり痛みを感じることなく、気づかないうちに虫歯が進行してしまうことがあるので気をつけましょう。

銀歯を除去してメタルフリーに


昨今、歯の治療には金属以外のセラミックやプラスチックといった材料を使用することが増えています。銀歯よりも虫歯リスクが低いセラミックやプラスチックへの置き換えもおすすめです。銀歯よりも自然な見た目で、金属アレルギーの心配もありません。

セラミック治療について

歯科材料の選び方

銀歯とセラミック

銀歯は約5〜7年で治療をやり直す可能性が
非常に高いです。
治療の材料を安易に選んでしまうと、将来的にさらに歯を削る羽目になってしまいます。
詰め物や被せ物を選ぶ際の条件には色々ありますが、基本的には「性能の違い」で判断しましょう。

詰め物や被せ物を
選ぶ時のポイント

  1. 健康面(二次虫歯になるリスク、金属アレルギー
  2. 耐久性(強度)
  3. 審美面(馴染んで自然かどうか)

虫歯がよくできる方であれば虫歯が再発しないようセラミックを被せたり、歯と歯の間や浅い虫歯の場合では最小限の削る治療で済むようプラスチックを詰めたり、噛み合わせが強い方であれば割れないよう金属の被せを入れたりと、部位や条件によって提案させていただく被せ物の種類は変わってきます。
歯の治療の前には最終的にご自身のお口の中がどうなっていたいかまでを考え、詰め物や被せ物の種類、治療の計画を私たち大木歯科医院四日市と一緒にご相談させていただければと思います。

この記事の編集・責任者は歯科医師の山下 陽次朗です。