ホームケア
虫歯・歯周病予防に大切なのはホームケア
歯磨きもしっかりやっていて、定期的に歯医者で検診を受けているのに
なぜか頻繁に虫歯ができたり、歯ぐきから出血したり、着色がつきやすいことってありませんか?
虫歯や歯周病の原因はお口の中の磨き残し(プラーク)が原因です。
今回はお家で簡単に歯のお手入れをするための歯磨きの道具とその使い方についてご説明します。
虫歯や歯周病になりやすい理由
お口の中には300~700種の細菌が住んでいると言われており、その中には虫歯や歯周病の原因菌も含まれています。虫歯や歯周病になりやすい方はお家での歯磨きがうまくいっていない可能性があります。
歯を磨いているつもりでも歯ブラシが歯に効果的に当たっていなかったり、自己流で磨いてしまっていて汚れがしっかり取りきれていなかったり、歯ブラシや補助用具がお口の中の状態に合っていなかったりと理由は様々です。
磨き残しをお口の中からできる限り減らすことが虫歯・歯周病予防にとても効果的です。
ブラッシングのポイント
歯磨きで大切なのは歯ブラシが当たっていないところをできる限りなくすことです。
人によって磨き方にクセがあるかと思いますので下記の4点を意識してみてください。
- 順番を決めて歯を磨く(一筆書きがオススメ)
- 1本ずつ小刻みに歯ブラシを動かす
- 同じところを10回以上磨く
- えんぴつ持ちで歯ブラシを持ち、優しい力で動かす
(強い力でゴシゴシ磨くと歯肉退縮が起こって歯がしみる原因に)
歯ブラシ
歯ブラシの選び方
歯ブラシには色んな大きさ、形のものが多種多様あり何を選べばいいか迷いますよね。みなさんは歯ブラシを選ぶときに何を意識して選びますか?
歯ブラシは基本的には歯磨きがしやすい操作のよいものを選んでいただくことをオススメします。
特にこだわりがないようでしたら下記の3つのポイントをチェックしてみてください。
歯ブラシを選ぶ3つのポイント
ヘッドの部分が小さいものを選ぶ
ヘッドの部分が小さい歯ブラシは操作性が良く、奥歯の細かいところや歯が重なって磨きにくいところも歯ブラシの毛先が届きやすいです。
ハブラシのかたさは「ふつう」を選ぶ
歯ブラシのかたさについてはふつうがオススメです。やわらかめですと汚れがまだらに残りやすく、歯をこする回数を増やさないと汚れがきれいに落ちません。逆にかための歯ブラシは歯が削れたり、歯ぐきを傷つける可能性がありますので力加減には注意が必要です。
歯ブラシの形は平らなもので3列植毛を選ぶ
歯ブラシの毛の形はあまり個性的なものは操作が難しいので、平らな面で3列植毛の歯ブラシを選んでいただくと操作性も良く歯に当たる面積が大きいので効果的に汚れを落とすことができます。
他にも、毛の材質は一般的に使用されている透明のナイロン素材のものが汚れの除去率が良いです。
歯ブラシの交換時期
よく患者様から歯ブラシの交換時期についてご質問を受けます。歯ブラシの交換時期は1ヶ月を目処に交換していただくことをオススメしてます。
長期的に同じ歯ブラシを使用するデメリットとしては下記の2つの理由があります。
毛先が開く
毛先が開くと歯磨き時の汚れの除去率が下がります。1mm毛先が開くだけで20%、2mm開くと40%除去率が下がります。
細菌が繁殖する
同じ歯ブラシを長く使っていると植毛部に細菌が増殖します。できる限り清潔な歯ブラシを使い歯磨きをましょう。
歯ブラシの保管方法は水気をよく切り乾燥状態にしておくことと、歯ブラシを複数本同じ場所での保管を避けて歯ブラシと歯ブラシが当たらないようにしましょう。
お口の中の汚れを落とすために歯ブラシ以外で何か使われていますか?
みなさんはお口の中の汚れを落とすために歯ブラシ以外で何か使われていますか?
実は歯ブラシだけでは磨くのが上手な方でも全体の汚れの60%しか落とせていないと言われています。
特に歯ブラシが苦手なところが歯と歯の間です。
歯と歯の間は歯ブラシの毛先が届きにくいので、歯ブラシだけでは汚れが残ったままになります。
そのため虫歯ができやすく、歯肉溝には歯周病菌がたくさんいる場所とも言われていますので、
できる限り歯と歯の間の磨き残しを減らしていくことが虫歯や歯周病の予防にとても大切です。
歯間ブラシ
歯間ブラシの種類と使い方
歯間ブラシは歯と歯の間の隙間が大きい人や、ブリッジのような連結している被せ物に糸ようじが通らない場合にオススメです。
さまざまな種類の形や大きさがありますので、歯科医院で歯科衛生士にチェックしてもらい、ご自身のお口の中にあったサイズを教えていただきましょう。
歯間ブラシは優しい力で歯に沿わせてこするようなイメージで使います。強くこすってしまったり、歯間ブラシの大きさが合っていないと歯や歯ぐきを傷つけてしまう恐れがあるので気をつけましょう。
デンタルフロス
デンタルフロスの種類と使い方
歯と歯の間の磨き残しに1番有効とされているのが「デンタルフロス」です。糸ようじとも言われます。
歯ブラシとデンタルフロスを併用することで全体の汚れの約80%をご自身で取れるようになります。
デンタルフロスにもいくつか種類がありますので、ご自身にあったものを選んでください。
フロスのコツは、なるべく糸を歯に沿わせ、左右分けてこすり取るように使うのがポイントです。
ホルダー付きフロス
初めてフロスを使う方にオススメのタイプです。持ち手がついているので操作がしやすいです。
ホルダー付きにはF字とY字のタイプがありますがF字は前歯用でY字が奥歯用です。
糸タイプのフロス
ホルダー付きのフロスに比べると歯の形に糸が沿ってくれるので汚れの除去率は高いです。
ただ操作が慣れるまではしにくいと感じる方が多いので最初は前歯から慣れて使ってもらうことをオススメします。糸のタイプは大体40~50cmに切って使用してください。
Floss or Die
「フロスをするか死ぬか」
「Floss or Die」という言葉を聞いたことはありますか?
その名の通り「フロスをするか死ぬか」というかなりインパクトのあるフレーズですが、これはアメリカの歯周病学会が歯周病予防のために発表したキャッチフレーズです。
歯磨きの時にフロスをしないと死んでしまうなんて大げさではないかと思ってしまいますがあながちそうとも言い切れないかもしれません。
フロスは歯と歯の間、歯肉溝に潜む歯周病菌を除去するのに非常に優れています。そのためフロスを使わない方は歯周病にかかるリスクが高くなるのですが、歯周病はお口の健康を害するだけにとどまらず全身の健康に影響を及ぼす病気と言われています。
フロスで全身の健康を守りましょう
日本ではフロスを使用している割合が人口の約20%に対し、アメリカ60%、スウェーデン50%と日本は予防に対する意識が先進国の中では低い傾向にあります。
歯周病が進行し歯茎の炎症が続くと、毒性物質が歯肉の血管を通り全身に巡ってしまい、糖尿病の悪化、心筋梗塞、脳梗塞、肥満、早産・低体重出産等お口の中にとどまらず全身の問題に移行する可能性もあります。
フロスをすることで歯周病を予防するだけでなく、全身の健康を守ることができるのであればフロスを使わないという選択肢はありませんよね!
みなさんも今日からの歯磨きにプラスしてフロスを始めてみてはいかがでしょうか?
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「歯科医師がオススメする目的別歯磨き粉4選」
この記事の編集・責任者は歯科衛生士の桑名です。