前歯のコンプレックスを短時間で解消
概要
年代・性別:
25歳の女性
主訴(来院のきっかけ):
「上の前歯がスキッパであること(正中離開)」と、「歯の変色(着色)の除去」を希望されて来院されました。
初診時の口腔内の状態:
・虫歯は全体的に見られませんでした
・OH(口腔衛生状態)は、やや悪い状態でした
・噛み合わせはオープンバイト(開咬)で、ブラキサー(歯ぎしり)が見られました
診断と治療方針
診断内容:
上顎の中切歯(前歯)に正中離開(歯と歯の間に隙間がある状態)が確認されました。
考えられる治療法の選択肢:
この患者様の場合、主に以下の2つの治療方針が検討されました。
- 全顎的な矯正治療:
2級オープンバイトの改善、スペースの閉鎖、噛み合わせの改善を同時に行う方法。これは最もベストな方法であると考えられました。 - CR(コンポジットレジン)による修復:
正中離開の部分のみを自費CRで詰める方法(ダイレクトボンディング)。
選択した治療法とその理由:
患者様は25歳の女性であり、費用的な面やその他の事情により、全顎的な矯正治療をすぐに行うことが難しい状況でした。 そのため、まずは「見た目(心理性)の改善」をメインの目的とし、ダイレクトボンディング(自費CR)によって正中離開を詰めていく治療方針を選択しました。ダイレクトボンディングは、比較的短時間で完了する治療です。
治療の流れ
治療の主なステップ:
- 診断とワックスアップの準備:
まず、現在の正中離開の状態で、どのような形態にすれば理想的にきれいに詰められるかを検討します。そのために、アルジネート印象(歯型)を取り、院内にいる歯科技工士に理想的な形態を再現してもらうワックスアップを作成しました。 - ダイレクトボンディング(CR充填): ワックスアップで作成した理想的な形態に近づけるよう、自費CR(コンポジットレジン)を歯に盛り、形態を付与しました。
期間・来院回数:
治療にかかった回数は、型取りが1回、CRを詰めるのが1回で、主に2回で治療が終了しています。
実質的な主訴部分の治療(CR)は1回の来院で完了しています。
その後、2〜3週間後にバイトチェック(噛み合わせの確認)と経過観察をさせていただきました。トータルの治療期間は1ヶ月かからない程度でした。
治療のこだわりポイント
大木歯科・矯正歯科 四日市では、単に歯の隙間を埋めるだけでなく、治療後の機能と審美性、そして長持ちさせるための科学的根拠に基づいた治療を徹底しています。
- 長持ちさせるための「接着力」の追求:
CR(詰め物)を用いた治療において、接着は非常に重要です。いかに接着力を高め、外れにくい状態にするかがポイントとなります。
・術前の清掃の徹底: 歯面に付着物がないよう、術前にしっかりと清掃を実施しました。
・防湿の徹底: 唾液などが歯についた状態で治療を進めないよう、防湿を確実に行いました。 - 天然歯に調和する審美性の追求:
前歯の治療においては、色味と形態が非常に重要になります。
シェードテイキング(色合わせ): 隣接する歯と自然に調和するよう、シェード(色調)をしっかりと合わせています。
天然歯の形態の再現: 天然歯の携帯をしっかりと頭の中で理解し、CRを盛りながら、実際の歯に近い形態で機能面と審美面を両立するよう賦形しました。 - 使用した材料:
ダイレクトボンディング専用の材料として、GC株式会社から出ている自費CR用の「エッセンシア」を使用しました。
治療結果
Before / After の比較:
治療前と比べて、上の前歯の正中離開(スキッパ)は改善されました。

仕上がりの特徴
・見た目が非常にきれいに改善され、わずか1日で審美性が向上しました。
・患者様の満足度が非常に高かったと考えています。
・見た目だけでなく、心の健康にもつながる治療となり、コンプレックスを改善された患者様は、治療後に自信を持って笑えるようになられたと感じています
費用・期間・リスク
治療費(税込):
ダイレクトボンディングは1歯あたり33,000円です。
今回は中切歯の2歯にCRを施したため、合計 66,000円となりました。
治療期間:
実質的な治療回数は1回(経過観察含め計2回)。
トータル期間は1ヶ月かからない程度。
リスク・副作用 :
・詰め物(CR)であるため、経年劣化のリスクがあります。
・強い力が加わった場合などに、CRが歯から脱離(外れる)するリスクがあります。
・治療結果には個人差があります。
・治療後の状態を維持するため、定期的なメンテナンスと清掃を継続して行っていただく必要があります。
まとめ
治療全体の振り返り:
審美的な改善を行う歯科治療は、単に体の健康だけでなく、心の健康にもつながる重要な治療であると改めて感じました。今回は、患者様のコンプレックスを短時間で改善し、自信を持って笑えるようになる姿を見ることができ、非常に良かったと考えています。
同じ悩みを持つ方へのメッセージ:
ダイレクトボンディングは、適用症例(大きな形態変更は不向き)が限られます。しかし、適切に適用症例を選んだ場合、短時間で、かつ費用を比較的抑えながらコンプレックスを改善できる非常に有効な治療法です。上の前歯の隙間や形、変色でお悩みの方は、大木歯科・矯正歯科 四日市へご相談ください。
大木歯科・矯正歯科 四日市の強みと姿勢
当院ではただCRを詰めるだけでなく、治療が長持ちするよう常に心がけています。接着力を最大化するための清掃、防湿といった科学的根拠に基づいた処置を徹底しており、「詰めて終わり」ではない、安心できる治療をみなさまに提供しています。
接着の重要性について
ダイレクトボンディングにおける接着の徹底は、家を建てる際の地盤固めに似ています。どんなに美しく立派な家(CRで仕上げた歯の形)を作っても、土台(接着面)が不安定で湿気(唾液や水分)が入ってしまっては、すぐに傾いたり崩れたり(脱離したり、二次的な虫歯になったり)してしまいます。大木歯科・矯正歯科 四日市では、この地盤固め(清掃や防湿)を科学的根拠に基づき重要視しています。

この記事の編集・責任者は歯科医師の山下 陽次朗です。
