子どもの矯正
今回は、矯正治療を始める適切な時期や、それぞれの治療内容について詳しくご紹介します。
子どもの歯並びや噛み合わせが気になる保護者の方にとって、矯正治療を始めるタイミングは非常に重要です。いつから矯正治療を検討すべきなのか、また1期治療と2期治療の違いについて理解しておきましょう。
子どもの矯正治療は何歳から検討すべきか？
５～７才くらいに一度受診をしましょう
子どもの矯正治療を考える最適なタイミングは、一般的には5,6歳から12歳の間です。この時期は「混合歯列期」と呼ばれ、乳歯と永久歯が混在する時期です。乳歯が抜けて永久歯が生え揃う過程で、顎の成長や歯の移動が活発に行われます。この成長期を活かして治療を行うことで、歯並びや噛み合わせを自然な形で整えることが可能です。
ただし、6歳前でも重度の受け口などで顎や歯に問題が見られる場合には、早期に矯正治療を検討することもあります。矯正専門の歯科医師とよく相談し、子どもの成長状況に合わせた治療計画を立てることが大切です。
1期治療の特徴と目的
1期治療は、永久歯が生え揃う前の乳歯と永久歯が混在している時期に行われる矯正治療です。子どもの成長期を利用して、顎の成長を促進または抑制し、歯が適切な位置に生えるように導きます。
この時期に治療を行う目的は、顎の成長をコントロールし、歯並びや噛み合わせの問題を早期に解決することです。特に出っ歯や受け口、顎が狭く歯が生えるスペースが足りない場合など、骨格の成長に影響を与える問題を治療することが重要です。
1期治療で使用する装置には、以下のようなものがあります。
固定装置（床矯正）
上顎につける固定装置で、装置の中央に設置されているねじを定期的に回して顎の拡大を図ります。顎を広げて歯が正しく並ぶスペースを確保します。
顎外装置（取り外しができる装置）
ヘッドギアとよばれる顎の成長を抑制したり奥歯を後方に移動させる装置で、出っ歯などの骨格的な問題を改善します。
メリット
- 顎の成長をコントロールし、自然な歯並びを促進できる。
- 歯が重ならずに生えるため、将来的な抜歯の可能性が減る。
- 咬み合わせの問題を早期に解決できる。
デメリット
- 成長期に応じた治療を行うため、治療期間が長引くことがある。
- 1期治療が終わった後も、2期治療が必要になる場合がある。
2期治療の特徴と目的
2期治療は、永久歯がすべて生え揃った後に行われる矯正治療です。1～2年ほどかけて歯を移動させ、歯そのものの位置を正しく整える治療で、治療方法にはいくつかの選択肢があります。
この段階では、歯並びの細かな調整や咬み合わせの問題を解決することが主な目的です。1期治療を行った場合でもすべての永久歯が揃った時点で再度確認し、必要に応じて2期治療が行われます。
2期治療で一般的な治療方法をいくつか紹介します。
ブラケット矯正（唇側／舌側）
歯にブラケットを装着し、ワイヤーで歯を引っ張って正しい位置に移動させる方法です。金属の目立つブラケットやワイヤーだけでなく、目立ちにくい透明なブラケットやホワイトワイヤーもあります。
基本的には唇側側にブラケットをつけますが、裏側にブラケットをつける舌側矯正もあります。
マウスピース矯正（インビザライン）
透明なマウスピースを使って、少しずつ歯を動かす方法です。マウスピースは取り外しができ、見た目にも配慮されています。
メリット
- 成長期が終わっているため、治療計画が安定しやすい。
- 最終的な歯並びや咬み合わせを整えるため、効果が目に見えて分かりやすい。
デメリット
- すでに骨が固まっているため、治療期間が長くなることがある。
- 歯を動かす際に、多少の痛みや不快感を伴う場合がある。
まとめ
1期治療と2期治療の違いを理解した上で、矯正治療を始める適切なタイミングを見極めることが重要です。早すぎても遅すぎても治療の効果や負担が変わるため、子どもの成長や歯並びを定期的にチェックすることが大切です。5〜7歳くらいの時期に一度みてもらいましょう。
歯並びに関して心配がある場合は早めに歯医者で相談し、適切な治療計画を立てることで、子どもの将来の健康と自信を守ることができます。最も良いタイミングは、矯正専門の歯科医師による診断を受けて決めましょう。
この記事の編集・責任者は歯科医師の笠井 啓次です。
