インプラントの仮歯
インプラント治療における
仮歯の重要性
治療期間中は仮歯を使用します
インプラント治療では、チタン製の人工歯根を顎の骨に埋入する外科手術を行います。術後はインプラント体と顎の骨が結合するまでに数ヶ月かかり、この期間中は骨の結合を妨げないよう、インプラント体に負荷をかけないことが重要となります。
しかし、術後に歯がない状態で長期間過ごしてしまうと、見た目や発音、噛み合わせなど日常生活において様々な悪影響があることから、最終的な上部構造(被せ物)を装着するまでの間、一時的に「仮歯(かりば)」と呼ばれるレジン(歯科用プラスチック)で作られた人工歯を装着します。
仮歯を入れる期間は
いつからいつまで?
口腔内の状態や患者様のご希望に合わせ、仮歯の期間を設定します
インプラント治療で仮歯を入れるのは、術後の抜糸が済んでからとなります。もともとブリッジや入れ歯を使用していて、それらを装着できるような状態であれば、手術当日止血後すぐに歯を入れることも可能です。
顎の骨の状態が良好な患者様の場合は、手術当日にインプラントの仮歯を作成し、1週間以内に装着するケース(即時荷重インプラント)もあります。
仮歯を装着する期間は患者様のお口や顎の骨の状態、治療法によって変わりますが、およそ2,3ヶ月から6ヶ月程度の仮歯期間を経て、セラミックでできた最終的な上部構造を装着するという流れが一般的です。
インプラント治療中に
仮歯を入れる理由
インプラント手術が終わったあと、欠損部位に仮歯を入れるのには様々な理由があります。
審美性を維持するため
歯がない期間、特に前歯を失った場合は奥歯などと比べてとても目立ちます。口元が気になって人前に出ることや笑顔になることに抵抗を感じる方も少なくありません。あくまで仮の歯ではありますが、術後の欠損部位を仮歯で補うことで、以前とほぼ変わらない見た目を維持することができます。
噛み合わせを保つため
歯がない箇所をそのままにしておくと、周りにある歯が動き始めます。その結果、歯の位置や噛み合わせが変わってしまい、最終的に装着する上部構造が合わなくなります。仮歯を装着することで歯が動くのを防ぎ、上部構造を装着するまで歯の位置や噛み合わせを保つことができます。
歯茎や顎の骨の状態を保つため
インプラント治療を受けるまで入れ歯を長い間使い続けてきた方や、歯が抜けたまま放置していた方は、歯茎や顎の骨が変形していることがあります。この場合、上部構造を装着するまでに仮歯を使って形状を徐々に調整していき、歯茎や顎の骨の状態を安定させます。
細菌感染を予防するため
口腔内には300~700種類もの細菌が生息しています。細菌感染によって歯肉に炎症が起こると骨結合に影響したり、最悪の場合、インプラントが脱落する恐れがあります。仮歯が術後の患部に蓋をする形となるため、細菌が侵入しないよう患部を保護し、細菌感染を防いでくれます。
骨の結合を妨げないため
埋入したインプラント体と顎の骨が初期結合するまでは、患部にはなるべく刺激を与えないことが望ましいとされています。インプラント手術後に仮歯を装着することで、外部から受ける刺激を軽減し、骨の結合が妨げられるのを防ぐことにつながります。
発音に影響を与えないため
歯がない箇所をそのままにしていると、会話中にその隙間から空気が漏れて正しく発音ができなかったり、滑舌が悪くなることがあります。特に前歯の有無は発音に大きく影響します。仮歯を入れることで空気の漏れを防ぎ、術後も発音しやすい状態を保ちます。
仮歯を装着中の注意点は?
仮歯はあくまでも仮の歯ですので、とれた・割れた・欠けたなどのトラブルが発生することも珍しくありません。これらのトラブルを防ぐためには、仮歯を装着している期間は仮歯のお手入れや食生活にも気を配ることが大切です。
仮歯のトラブル対策
仮歯周りのケアは入念に
仮歯の周りの歯茎が炎症を起こしてしまうと、インプラント体と顎の骨の骨結合に悪影響を与えるリスクがあります。特に仮歯と歯茎の隙間は磨き残しがでやすい箇所ですので、しっかりと汚れを除去しましょう。力を入れ過ぎると仮歯が外れたり歯茎を傷つけたりすることがあるため、優しく磨いてください。
硬いものは噛まない
仮歯は「レジン」と呼ばれる歯科用プラスチックを用いて作られています。レジンはセラミックや金属のような強度はなく、天然歯の半分程度の強度なので長期的に使用することはできません。特に、硬いものを噛むと欠けたり割れたりする恐れがありますので、食事の際には注意が必要です。
粘着力のあるものは避ける
最終的に装着する上部構造とは異なり、仮歯に使用される接着剤は着脱しやすいよう接着力の弱いものが使用されています。そのため、キャラメルやガムなどのくっつきやすい食べ物を食べると、仮歯が外れてしまう場合がありますので、仮歯の装着期間中は避けるようにしてください。
仮歯のまま治療を中断しない
歯科用プラスチックでできている仮歯は、長く使用し続けると摩耗・変色していき劣化が進んでいきます。噛み合わせが乱れ、作製した上部構造が合わなくなる恐れもありますので、自己判断で仮歯をつけた状態で治療を中断してしまうことは絶対に避けましょう。
万が一、仮歯が外れたら?
仮歯は捨てずに保管して、歯医者へ連絡を
何らかの原因で仮歯が外れたり破損してしまった場合、他の医院を受診しても対応できないケースがほとんどです。まずはインプラント治療を受けた歯医者へ速やかに相談してください。また、自己判断で仮歯を元に戻してそのまま過ごすことは後のトラブルにつながる恐れがありますので、外れた仮歯を持参して、必ず担当の歯科医師に診てもらいましょう。
インプラントのトラブル事例と対策
大木歯科医院四日市では、患者様に安心して治療を受けていただけるよう、インプラント相談を実施しております。インプラント治療後の過ごし方や、仮歯期間中についての心配事がございましたら、小さなことでも構いませんのでお気軽にお問い合わせください。個室のカウンセリングルームにて患者様の現在のお困りごとや治療へのご要望などを詳しく伺い、ご納得いただける治療計画をご提案させていただきます。
この記事の編集・責任者は歯科医師の笠井 啓次です。