インプラントと歯ぎしり
歯ぎしり癖があってもインプラントは受けられる?
歯ぎしりや食いしばりの癖があると、インプラントに悪影響を与えるのではないかと考える方は多いでしょう。確かに歯ぎしりはインプラントや天然歯に強い負荷を与えるため、失敗の原因につながることがありますが、歯ぎしり癖があるからといってインプラント治療が受けられないというわけではありません。歯ぎしり癖がある方でも、適切に対処すればインプラントの機能性を維持しながら長くお使いいただくことが可能です。
歯ぎしりとは
歯ぎしり(ブラキシズム)は歯を強くすり合わせる癖のことです。歯ぎしりは「グラインディング」「クレンチング」「タッピング」の3つに分類されます。
グラインディング
上下の歯を臼のようにギリギリとすり合わせる動作(臼磨運動)を指します。
クレンチング
上下の歯をギュッと強く噛みしめる癖(食いしばり・噛みしめ)を指します。
タッピング
上下の歯をカチカチと音を立ててリズミカルに噛み合わせる習慣です。
睡眠時ブラキシズムと
覚醒時ブラキシズム
眠っている間に起こる歯ぎしりを「睡眠時ブラキシズム」、日中、起きているとき無意識のうちに行う歯ぎしりを「覚醒時ブラキシズム」と言います。
歯ぎしりが起こる原因や発症のメカニズムについては明確になっていないのが現状ですが、近年では睡眠時ブラキシズムは眠っている間の大脳上位中枢の興奮に由来して引き起こされるという研究結果が報告されています。
覚醒時ブラキシズムは、仕事や勉強、運転中、スマートフォンやパソコンを使用している時など、何かに集中しているときや緊張状態にあるときに起こりやすい傾向にあります。
このような症状・お悩みはありませんか?
- 起床時、顎がだるく感じる
- 口が開きにくい
- 詰め物や被せ物が取れやすい
- 舌・頬の内側に歯列の跡がついている
- 歯が噛み合う面の凹凸がない
- 下の歯の内側にコブのようなものがある
- 歯と歯茎の境目が削れている
無意識に行われる歯ぎしりや食いしばりは、家族から指摘されることで初めて気付くケースも少なくありません。歯ぎしりのサインを見逃さないためには、歯医者で定期的に口腔内の状態をチェックしてもらうことも重要です。
歯ぎしりが引き起こすトラブルやリスク
歯や補綴物・インプラントへのダメージ
歯ぎしりや食いしばりによって過度に大きな力がかかると、歯の咬耗(歯がすり減ること)やヒビが入ったり、歯が欠けたり割れたりすることがあります。歯だけではなくインプラントや詰め物・被せ物などの補綴物にも大きなダメージを与えることから、これらの装置が破損することもあります。
歯周病や歯髄炎
歯や補綴物に強い力がかかると、これらを支えている歯茎や歯槽骨などの歯周組織にも悪影響を及ぼします。その結果、インプラント周囲炎や歯周病が進行してしまったり、歯の神経である歯髄が圧迫されて炎症する歯髄炎を起こすリスクが高まります。
頭痛や顎関節症
歯ぎしりは咀嚼に関わる筋肉にも大きく負荷を与えるため、側頭筋が緊張することによる緊張型頭痛を引き起こしやすくなります。また、歯ぎしりは顎の痛み・疲労感・口が開けにくくなる顎関節症のリスクファクターのひとつでもあります。
歯ぎしりからインプラントを守るには?
スプリント療法
ナイトガードと呼ばれる取り外し式のマウスピースを使用する「スプリント療法」は、歯ぎしりへの対応として最も一般的な方法です。インプラント治療後、歯ぎしり癖のある方には、患者様の上下の歯型をもとに作製したナイトガードを装着していただくことで、インプラント装置や健康な歯、顎関節などに強い力が加わるのを防ぎます。
認知行動療法
日中の食いしばりが強い方の場合は、その癖を改善するための認知行動療法を行います。食いしばりの認知行動療法の例として、「時間を決めてリラックスする時間を作り、緊張をほぐす」「目のつく場所に『歯を離す』などと記載した付箋を貼る」といった方法が挙げられます。
歯ぎしりのある方もまずはご相談ください
歯ぎしりや食いしばりについては解明されていないことも多く、完全に治すことはなかなか難しいことですが、治療後にスプリント療法や認知行動療法などの対症療法を行うことで、インプラントや残存歯を守り、長持ちさせることができます。
歯ぎしり・食いしばりのある方も、インプラント治療を諦める必要はありません。大木歯科医院四日市ではインプラント無料相談を受け付けておりますので、治療について不安のある方はお気軽にお問い合わせください。
この記事の編集・責任者は歯科医師の笠井 啓次です。